お客様事例
更新:2026-07-13 12:00
人事制度設計
複線型キャリア
定年延長

業界・業種
建設業 ※社名非公開
社員規模
500~1000名
実施期間
約1年半
提供サービス
人事制度設計、関連制度設計、人事制度運用支援など
全国に拠点を持つクライアント企業は、施工現場を最前線で支える「現場監督」層、組織運営全体を担う「マネジメント層」、そして高い専門性で付加価値を生み出す「専門人材」など、多様な人材によって事業を構成しています。
しかし建設業界全体において、人手不足の慢性化や経験者採用の競争激化が続いており、必要な人材を外部から確保することが極めて困難な状況にありました。
さらに、若年入職者の減少、技能継承の停滞、そして現場負荷の高止まりといった構造的な問題も重なり、「自社内で計画的に人材を育成し、定着させる仕組みづくり」が不可欠となっていました。
特に、現場を束ねる現場監督や中核技能者の不足は、企業の受注能力や施工能力そのものに直結するため、彼らの育成・配置、そして処遇に対する納得感を高めることが急務でした。
社内制度に目を向けると、いくつかの深刻な課題が顕在化していました。
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人事評価(考課)の運用が形骸化しており、年功的な昇格運用が残存した結果、特に管理職層において担っている役割と実際の処遇との間に大きな不一致が生じていました。
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プロジェクトベースで働く現場監督にとって、案件終了後の「待機期間」における処遇や人数管理が曖昧であり、将来的な配置や育成の見通しが立てづらいという問題がありました。
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将来的な人員確保に向けて定年延長を見据えながらも、再雇用制度が十分に整備されておらず、シニア層が定年後も高いモチベーションを保って活躍できる仕組みが欠けていました。
これらの課題を解決するため、経営が描く将来の「目指す姿」を起点に、現行制度とのギャップを詳細に分析しました。
課題を「役割・等級」「評価」「処遇」「シニア人材活用」「運用」の5つの軸に分解・整理した上で、以下の基本方針に基づく総合的な人事制度改定に着手しました。
計画的に人材を輩出するため、マネジメント職、現場監督、専門人材それぞれの成長ルートを明確化する。
外部労働市場との競争力を確保しつつ、誘導したいキャリア方向性を踏まえた給与水準を再設計する。
経営方針と連動し、社員の定着と評価品質の向上を最優先とした評価制度を導入する。
人材不足に対応するため、65歳への定年延長と役職定年、再雇用制度を一体で整備する。
基本方針に基づき、以下の具体的な制度設計と運用ルールの整備を行いました。

多様な人材がそれぞれの強みを活かして成長できるよう、マネジメント職、現場監督、専門人材のそれぞれの成長ルート(複線型キャリアパス)を明確化しました
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無用なポストの乱立を防ぐため、「ポスト数管理」を導入し、ポスト設置の考え方と運用ルールを定義しました。
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課題であった現場監督の待機期間中の処遇を明確にし、待機者を含めた適切な人数管理の仕組みを整備しました。
外部市場での採用競争力を高めるため、給与水準を再設計しました。
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年功要素の強い「年齢給」を廃止し、担う職務に応じた基本給体系へと移行しました。
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新制度移行時に月収が大きく下落することを防ぐため、年収構成を見直し、年収に占める月収の比率を引き上げることで生活の安定性を確保しました。
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属人的な家族手当を「子ども手当」へ見直し、不透明になりがちな借上社宅制度を廃止。代わって対象者を明確にした「住宅手当」を拡充するなど、メリハリを効かせつつも過度な格差が生じないよう方針を定めました。
形骸化していた評価制度を刷新し、経営方針と連動した実効性のある評価手法を導入しました。
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マネジメント層には「MBO(目標管理制度)」を、現場監督層にはプロジェクトごとの貢献度を測る「プロジェクト成果評価」を導入しました。
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新しい評価制度の定着と評価品質の向上を最優先とし、導入初期は評価結果の処遇への反映度合いを抑えました。運用が成熟するのに応じて、段階的に反映度を高めていくステップ型の設計を採用しています。
さらに、運用定着を見据えたマニュアルや説明資料の作成まで行いました。
慢性的な人材不足に対応し、熟練の技術と経験を組織に還流させるため、シニア層の処遇と活躍の場を抜本的に見直しました。
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定年を65歳へと延長し人材を確保すると同時に、次世代の育成とポスト交替を促進するため、一定年齢での「役職定年」制度を導入しました。
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人材確保が経営上の最優先事項である「現場監督」については、役職定年の対象外とし、65歳まで第一線で職務を継続できる柔軟なルールとしました。
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65歳の定年後も継続して活躍できる機会をしっかりと担保するため、新たな再雇用制度を整備し、制度間の整合性を図り運用ルールを明文化しました。
今回の総合的な人事制度改革により、「役割と処遇の整合性」「評価制度の実効性」「制度全体の透明性」を同時に高めることができました。
特に、建設業の生命線である「現場監督の処遇改善・待機期管理」と、人材不足を補う「65歳定年延長およびシニア層の活躍機会の創出」を一体で設計したことは、同社が直面する構造的な課題の解決に直結しています。
外部からの採用に頼りきるのではなく、自社内で計画的に人材を育成・定着させ、人件費コントロールとモチベーション維持が両立する持続可能な人事制度となりました。
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